航空券を検索する際、このような現象は起こっていませんか?
A-B乗継-Cには空席があるのに、A-BまたはB-Cで探したら空席が出てきません。
通常航空券の場合、A-B乗継-CはA-BもしくはB-Cよりかなりお安くなります。
これは、乗継地を挟む2つの便がセットされ、分割できないマリッジセグメント(Marriage Segment)というものです。
目次
マリッジセグメントの仕組み
例えば航空会社はA-BとB-Cの路線にそれぞれ空席10席を割り当て、別途10席をA-B-Cの路線に割り当てます。システム上では、A-BとB-Cそれぞれ20席ずつあるはずですが、実際にはA-B、B-C、A-B-Cの10席ずつしか取れません。
そのうちA-BやB-Cが売り切れ、A-B-Cが残っていたら、空席があっても取れない状況になります。
マリッジセグメントはなぜ存在する
一番シンプルな理由は、A-BやB-Cのような直行便は、手間がかからず高く売れます。特にビジネス客対象の路線にはよく見当たります。
A-B-Cのような路線は、航空会社が乗継地を増やし、特にハブ空港を連結する路線にほかの目的地行きの便をたくさん加えることで、旅客の分流に誘導します。
また、A-B-Cを著しく低料金で設定し、A-Cの他社直行便との競合も理由の一つです。
よく確認したら、金額だけでなく、予約クラスも異なり、当然マイレージの積算率も変わります。
特典航空券の場合は、収益に影響がないものの、一部航空会社がレベニューマネジメントシステムを採用したせいで同じ現象が起こります。
マリッジセグメントを外す方法
1区間目だけ飛んで2区間目を放棄する
多少リスクのある方法で注意が必要です。
受託手荷物があると目的地まで運ばれる恐れがあり、スルーチェックインせずに異なる空港での乗継もしくは乗継時間が長く一旦受託手荷物が受け取れる航空券にすることが無難です。
やりすぎると通常航空券の場合は航空会社のブラックリストに登録されたり、特典航空券の場合はアカウントごと閉鎖されたりします。2,3回ぐらいなら許される範囲内でしょう。
*ちなみにやりすぎてルフトハンザ航空に告訴されたケースがあり、結果としては違法ではないと裁定されました。
カスタマセンターに電話して変更してもらう
スタッフの業務能力にかなり差が付くので、必ず理解できるとは限りません。
運が悪ければ何回も電話する必要があります。
マリッジセグメントを外した実例
AAアメリカン航空のアメリカ国内線特典航空券を利用したケースを引用します。
CLTからBGIに行こうとしたら、CLT-BGIもCLT-MIA-BGIも空席がなく、ニューヨーク出発で検索をかけてみました。
無事、「EWR-CLT-BGI」、「BGI-MIA-CLT-LGA」の往復路線が出てきました。
*運航会社のグローバルハブ空港で検索すると、経由路線が多いため見つかりやすい
EWR、LGA、JFKは全部ニューヨークの空港です。
つまりニューヨーク-CLT-BGIとBGI-MIA-CLT-ニューヨークに空席があるとのことです。
そう、これはまさにマリッジセグメントです。
このスケジュールをネットでホールドしてAAに電話で変更してもらい、最初と最後の区間を外すことができました。
*電話発券はほとんどの航空会社に手数料がかかるので、変更だけしてもらい発券はネットでするといいです。
他社マイルでも特典航空券の発券はできますが、マリッジセグメントを外すなら自社便のほうが断然成功率が高いです。
またAAマイルで発券した場合、出発地と目的地以外の変更は無料です。(2020年6月1日から、出発日から60日間以内の変更は有料になりました。)
また別の理由で帰りの便を下記のように変更しました。
変更前
変更後
なのに出発前日にハリケーンの予報があり、ニューヨーク周辺は影響されるようで、再度変更しないといけない状況になりました。
BGI-MIA-JFK-CLTをBGI-MIA-CLTへ変更しようとしたら、またマリッジセグメントが現れました。
MIA-CLTに空席がないのに、MIA-CLT-JFKには空席があります。
AAに電話してもマリッジセグメントを理解できないスタッフに対応され、結局BGI-MIA-CLT-JFK-CLTのように変更されてしまいました。
CLT-JFK-CLTはいらないと言っても向こうは納得できませんでした。
*規則を理解できないスタッフに遭遇した場合、電話を切って再度かけたほうが効率的
幸い、ちょうどその時AAからハリケーンで航空便に影響が出るという通知が来て、不可抗力による変更ルールに沿ってようやくBGI-MIA-CLTに変更できました。
もちろんBGI-MIA-CLT-JFK-CLTでも大丈夫ですが、受託手荷物と最後の2区間放棄の問題でややこしくなります。
マリッジセグメントの逆パータン
A-B-Cの空席数が制限され、A-BやB-Cに空席が多めに割り当てられます。
そのためA-BもB-Cも空席があるのに、A-B-Cで検索すると空席が見当たりません。
これは、まさにディヴォースドセグメントです。
考えられるのは、A-BかB-Cのどちらかが収益率も高くよく売れるので、設定料金の低いA-B-Cの空席数が制限されたからです。
CXキャセイパシフィック航空には、ディヴォースドセグメントの遭遇率が非常に高いです。
通常航空券の場合は、乗継を途中降機にして検索してみると、空席を作り出すことができます。
特典航空券の場合は、電話受付スタッフを必死に説得し、ルールを理解できる責任者に代わってもらうしかありません。1時間ほどかかってしまうかもしれません。
CX特有のバグがあり、A-B、B-Cにそれぞれ空席があってもBの乗継時間を24時間未満で発券したら、システムが自動的にA-B-Cのようなマリッジセグメントを設定し、そのうち1区間だけ変更したくても、変更希望日にA-B、B-Cの両方に空席がないと変更できません。
マリッジセグメントを利用してコストダウン
以上でマリッジセグメントが非常に嫌な存在に見られますが、実はかわいいところもあります。
つまり「隠された空席&下げられる航空券代金」です。
直行便に空席がなければ、空席のある乗継便は自動的に表示され、誰もが買えるのです。
前述のAA実例のように、その便と繋がる前後の便を探し出し加わることは、知る人ぞ知る空席の検索方法で、特に人気のない便ほどその可能性が高まります。
これをうまく利用すれば、航空券代金を大幅に下げることもできます。
例えば、ANAにはたくさんあるケースで、マリッジセグメントによる海外発券の日本乗継便は、日本発券よりだいぶ安くなります。HND-LAXの代金は、ICN-HND-LAXの2倍以上かかる場合もあります。
世の中には、マリッジセグメントを理解できる人がまだまだ少ないからこそ、利用して得すべきではないでしょうか?
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