特典航空券を検索する際、どんなツールを使いますか?
恐らく航空会社の公式サイトぐらいでしょう。
基本、システム上使いづらいところが多く、機能も複雑なものがなく簡単なものがほとんどです。
もちろん一般の人にとっては使いやすくて十分ですが、航空マニアとしてはちょっと物足りないですね。
ここで航空券を徹底的に把握&検索&カスタマイズできるExpertFlyerが登場!
狙っているものの空席をいち早く通知、ルールをとことん利用して最低コストで航空券の購入&マイル稼ぎ、高い自由度であらゆる路線のカスタマイズ、などなどすごい機能を持っているものです。
目次
ExpertFlyerの概要と基本の使い方
まずは会員登録からです。
フリー版とプロ版があり、プロ版は有料ですが5日間の無料試用も可能です。
フリー版は航空便と空席状況のみ検索可能で、アラートの設置により空席状況のメール通知サービスがあります。
プロ版に該当するベーシック版、プレミアム版はそれぞれ月額USD4.99/9.99(プレミアム版のみ年額USD99.99も可)で購入できます。
機能の違いは下記のようです。
プレミアム版の各機能を簡単に紹介します。
Awards & Upgrades
特典航空券の空席状況とアップグレード状況
Flight Availability
予約クラスごとの空席状況
Flight Timetables
指定された出発空港、到着空港、出発日にあるすべての便の時刻表
Flight Status
航空便のリアルタイム状況
Flight details
ターミナル、機内食、積算マイルなどが確認できるFlight Statusのより詳しいバージョン
2015年9月10日CX830の例です。
Seat Map
飛行機の座席情報
SEATGURUとほぼ一緒ですが、座席指定の制限理由まで確認できます。9月12日CX830の例です。
ファーストクラスは高級会員優先で1席のみ残り、ビジネスクラスは高級会員優先で2席、座席指定済み3席、自由指定できる3席で計8席残っています。
Fare Information
予約クラスごとの基本運賃
9月20日HKG-SINの例です。
予約クラスごとの片道と往復運賃(HKD税抜価格)及び一部制限内容
Travel Information
航空会社のランキングや遅延情報、最短乗継時間、最大許容マイル、連絡都市、運輸協定、ビザ、検疫、パスポート関係などの旅行関連情報
特典航空券とアップグレード枠の残席確認
ほとんどの航空会社には対応可能ですが、LA&JJ、JL、QR、CXはまだ対象外です。(通常航空券なら検索可能です)
航空会社のHPから直接調べればいいと思う人がたくさんいるでしょうが、HPから検索しづらい、電話でしか空席確認が取れない、他社便の検索に存在しない空席が出てくるなど、利便性が全く違います。
例えばタヒチに行きたければAAマイルでTN便を発券するのがいいですが、HPから調べられないし枠も少ないから電話すると長引いてしまいます。
ACマイルでACと5T乗継でカナダのオーロラ観光地行きの航空券を発券するためにも、同じくHPから調べられないし、枠も便も少なく見つけるのに大変です。
操作の流れ:
Departing Airport と Arriving Airportのところに出発空港と到着空港のコードを入れます。わからない場合は都市名でも大丈夫です。
乗継希望空港があればConnecting Airport(s) に入力します。
Depart Dateで出発日を選び、前後三日で最大1週間分が確認できます。HND-ITM線のように一日何便もある場合は、時間順で六つまでしか表示されないので、希望出発時間も入れておきましょう。
往復検索ならReturn Date も入力します。
Airline で航空会社を選びます。予約クラスコードが異なるせいか、一回で一つの航空会社しか調べられません。注意すべきのが、その航空会社の特典航空券の枠がない場合、たまにコードシェア便が出てきてマイル発券の対象外かもしれません。
Class(es)で希望のクラスを入れます。予約クラスまで細かく指定できます。
Connection Preferenceで直行便もしくは乗継便、Exclude Codeshareでコードシェア便を対象にするかを選びます。
Result page は ‘Show all dates in 1 screen’にすると見やすくなります。
例えば、ASマイルでEKの特典航空券を発券するよう、2015.10.20前後のLAX-DXBのファーストクラスとビジネスクラスの空席状況を調べます。
*ASマイルはEKのSAVERクラスだけ発券できるのでZクラスとDクラスのみチェックを入れます。
結果として10月の19,20,22日にZクラスのファーストクラスがそれぞれ1席残っています。
2018.4.1にJFK-PVGのKE運航便の空席状況を調べてみます。
四つの予約クラス(A、O、Z、X)を調べたのに二つ(A、Z)しか出てきましたが、エラーではなくKEが(O、X)の枠を開放しないからです。
ここで気付いてくれたと思いますが、KEはアップグレード用のZクラスの枠を開放したのに特典航空券用のOクラスの枠は閉鎖されたままです。
実際、できるだけキャッシュで売れるように直前まで特典航空券の枠を開放しない航空会社が非常に多く、AAみたいにアップグレード券が使える場合は、役に立ちます。
2015.9.15のPEK-ORDのファーストクラスとビジネスクラスのアップグレード枠(A、C)です。
13日にそれぞれ7席、14日にファーストクラス3席、その後全部0席です。
つまり、出発日の24-48時間前までにアップグレード枠が開放されないことです。
アラート通知機能
上記検索結果の残席枠の右側にある"!"をクリックすると、特典航空券のアラート設定ができます。
一つのアラートは決められた一つの日付と便しか設定できないので、沢山設定する場合は、混乱しないようにAlert Nameを決めましょう。
Class Codeで特典航空券のクラスを選びます。
Availability Quantity で必要席数を入れます。
枠が開放され次第通知メールが届きます。
開放から届くまで最大24時間かかるため、急ぐ場合は、毎日検索するしかありません。
ANAのような変更無料の特典航空券は、行きだけ枠が開放されたら、帰りを枠のある日に適当にして後で変更すればいいです。
特典航空券以外も、ほかのアラート設置ができます。
座席アラート
指定できない座席が指定できるようになったら通知されます。
機種アラート
機種変更される際に通知されます。機種狙いなら大事です。
オーバーブッキングアラート
エコノミークラスが0になったらオーバーブッキングになります。上級会員または高い予約クラスならアップグレードの可能性が高く、一方で平会員や低い予約クラスは搭乗不能の恐れがあります。
アップグレードアラート
例えばAAの場合は、アップグレードできる空席が通知されたらすぐにAAに電話してウェーティングリストの順番問わずアップグレードしてもらえます。
より少ないマイルで発券できる経由便を見つける
経由便のいいところは、途中で何回止まっても一つの区間として計算されます。
直行便のない路線やトランスファーが制限される特典航空券、特にAVIOSで発券する際にはとても使いやすいです。
実際の飛行距離に関係なく出発空港から到着空港までの直線距離で必要マイル数を計算されます。
よくあるアメリカ国内線のAA経由便を例として説明します。
AAのHPでは3カ月以内の便しか表示されませんが、ExpertFlyerでは空港ごとに1年以内の出発便時刻表を表示されます。
Flight Timetablesをクリックし、Search By Departure/Arrival Cityで出発日と出発空港を選びます。
航空会社の指定ができないので、出発時間順ですべて羅列されます。
左上のFlightをクリックすると航空会社ごとに並べ、直行便が前で経由便が後ろにあります。
経由便は期間限定が多く、右側に運航期間も表示されます。
2018.3.13のRDU-MCI経由便の特典枠が5席で、本来RDU-CLT+CLT-MCI=15000AVIOSのところ、7500AVIOSだけでOK!
*AVIOS改悪前のチャートです。
マイル発券の制限を解消
一部の航空会社が、特典航空券に対し、発券制限を設けてあります。
その制限に引っかかったら枠があっても発券できません。
よくある制限は
両空港に公示運賃Published Fareが必要
最大許容マイルMaximum Permitted Mileage (MPM)
幸いExpertflyerで検証することができます。
左側のFare Informationをクリックし、出発・到着空港と出発日を入れて検索結果が出なければ、公示運賃がないことを示します。
例えば、QFにHID-PERの公示運賃がないため、AAマイルで発券できません。
反対に、以下の結果が出てきたら公示運賃があります。
View RoutingをクリックすることでMPMが表示されます。
基本MPMの25%までの超過が許容されます。
MIA-LHRのMPMの125% は6654マイルだから、4458マイルのMIA-PHL-LHRは対象で7798マイルのMIA-LAX-LHRは対象外です。
航空券情報全般を検索する方法
航空券には、路線規則(routing rules)と運賃規則(fare rules)が含まれます。
この二つのルールに沿って出発地から目的地までの選択可能路線、トランスファーやストップオーバー回数、オープンジョーの可否、追加料金がかかるかどうかなどが決められます。
左側のFare Informationから確認できます。
Departing AirportとArriving Airportに出発/到着空港を入れます。世界一周航空券なら同じ空港にしてもいいです。
Depart Dateに往路出発日を入れ、往復の場合はReturn Dateに復路出発日も入れます。
Airlineに最大三つまで搭乗希望会社を入れます。ブランクにすれば公示運賃のあるすべての航空会社のfare informationが表示されます。
Cabinでクラスを選ぶか、Class Codeで予約クラスを入力します。Fare Basis Codeに具体的なコードを入れてもいいですがプロ以外は使わないでしょう。
Currencyを日本円にすることもできます。
最後の二つの項目は、一つだけ選ぶ必要があります。出発日確定ならValidate Faresにチェックしてその日に限ってすべて有効なFare Informationが表示されます。出発日に自由度が高く価格重視ならShow Fares for All Travelにチェックして各社が公表したすべてのFare Information及びそれぞれの搭乗可能期間が表示されます。
2017.9.23 LAS-PEK Validate Faresの一部スクリーンショットです。
一列目はFare Basis Codeで、特定の路線規則と運賃規則を示します。頭文字は各社共通で予約クラス(3列目と一緒)です。その後の文字は各社独自の表示方法です。
2列目はそのFareを発表した航空会社ですが、必ずしも運航会社とは限りません。
5列目はBasic Fare、つまり基本運賃です。別途燃油サーチャージなどの諸費用がかかります。
7、8列目のEffective DateとExpirative Dateは旅行開始/終了可能期間、9列目は目的地最短/最長停留可能期間、10列目は出発日まで購入可能な最小必要日数です。全部満たさなければなりません。
最後の3列目は、左からそれぞれ運賃規則、路線規則、予約クラス残席枠検索になります。
ルート制とマイル制の路線規則を解説
路線規則は、航空会社が決めた出発地から目的地まで組み合わせ可能な便のルールです。
特定の航空会社に対し、出発地と目的地さえ決まれば路線規則も決まります。fare basis codeはそれに基づき更なる制限を加えます。
路線規則は基本ルート制とマイル制の二種類に分けられ、ルート制は乗継ルート、マイル制はMPMに満たす必要があります。
国際線の場合、UA,ANA,AC,KEなどはルート制で、AA,DL,BA,JLなどはマイル制です。
アメリカ国内線はすべてルート制で、AAのBUF-TUSの路線規則を例として説明してみます。
空港コード(基本はハブか重要都市)を使って出発地と目的地を繋げます。
複数の空港があれば都市コードを使います。例えばTYO=NRT&HND
BUFから出発で、BOS、CLT、NYC、PHL及びWASが最初の乗継地点に該当します。(直行便あればの話です)
また乗継地点は外してもかまいません。ここのBOS/CLT/NYC/PHL/WASを外して直接CHI/DFWに行っても大丈夫です。BUF-TUSにもし直行便があればそれにしてもいいです。
この路線規則に沿って作成した運航路線図です。
一番簡単なのはBUF-CHI-TUSで、一番複雑なのはBUF-PHL-DFW-LAX-TUSです。
同じ予約クラスのbasic fareも同じで、どれを選んでも航空券代金はほぼ一緒です。
国際線のルート制路線規則はもっと複雑です。
UAのPVG-LAXを見てみましょう。
空港コードの間に航空会社コードも入れてあります。
例えばSHA-UA/KA/HX/CX-HKGはSHA-HKG線にUA/KA/HX/CX運航便でなければいけません。
GUM-HNL-OGG/MKK/LNY/LIH/KOA/JHM/ITO-HNL-LAXのように、HNLが2回も出ていますが、一つの路線規則において同じ空港で2回以上乗継ができないので、もし最初のHNLで乗継してOGGに行った場合はHNL-LAXが使えなくなり、OGG-SFO/SEA/LAX-LAXでしかLAXに戻ることができません。
UAはPVG-LAX直行便もPVG-HKG-TYO-GUM-HNL-SFO-LAX乗継便も利用できます。
次にマイル制を見てみましょう。
DLのPVG-LAXの路線規則です。
MPMは7778マイルで、‘Ticketed point deduction [TPD] of 1800 mi applies when travel is via HNL’ はHNL乗継ならMPM許容範囲が7778+1800=9578マイルという意味です。
一つの路線規則に複数のTPDがある場合、最大値のみ計算すればいいです。
MPMの125%を超えることができないので、最長飛行距離は9722マイル(HNL乗継は11972マイル)です。
ということで、DLのPVG-LAX直行便もしくはSEA/DEN乗継でLAXに行けます。PVG-NRT-HNL-SEA-ANC-SLC-LAXのような路線も発券できます。
運賃規則を解説
運賃規則は、航空会社がある運航路線に対し、基本運賃及び各種限定条件を出すことです。
路線規則と運賃規則を同時に満たす場合のみ、提示された金額で航空券を購入できます。
運賃規則は非常に多くて複雑なので、2017.9.17 UA PVG-LAX往復の基本運賃コードfare basis code ‘GKE0ZCC5‘ の一部スクリーンショットを使って、重点的に説明します。
DAY/TIME:搭乗日に関する制限。平日または週末出発限定、乗継地で日を跨いて翌日の便のみ乗継可能などの制限が見当たります。GKE0ZCC5には特に制限がありません。
SEASONALITY:選択可能な往路復路出発期間。GKE0ZCC5は2017年の1.1~2.7 /8.24~8.29/9.8~9.25にPVGから往路出発限定復路制限なしです。
FLIGHT APPLICATION:搭乗可能な運航会社。GKE0ZCC5は太平洋を跨ぐ路線がUA運航便限定、中日路線はCA運航便不可、中韓路線はOZ運航便不可となります。
STOPOVERS:ストップオーバーの可否、回数、都市、付加費用の有無など。GKE0ZCC5は一切不可です。
TRANSFERS:エリアごとの乗継可能回数。GKE0ZCC5はAREA1で最大3回、AREA3で最大2回乗継可能です。
COMBINATIONS:複数の運賃規則の組み合わせによる発券ルール。End-on-End、Side Trip、Open Jaw、Circle Tripなど細かく定められましたが、プロでなければオープンジョーの許容範囲を確認するだけでいいです。
GKE0ZCC5はSide Tripやアメリカ国内線及びブラジル行きのEnd-on-End不可、両方オープンジョー可能、Circle Trip構築可能です。
一つの航空券番号でも、複数の運賃規則が存在する可能性があります。例えば往路と復路がそれぞれ異なる運賃規則です。
END-ON-ENDは出発地もしくは目的地にて別の空港と新しい旅程を構築することです。 例えばPVG-LAXにYVRまでの旅程を加えることで、PVG-LAXとLAX-YVRがそれぞれ違う運賃規則で、PVG-LAX-YVRはEND-ON-ENDです。
SIDE TRIPは出発地や目的地に関係のないところで旅程を構築することです。例えばORD-IAHはPVG-LAXのSIDE TRIPです。
OPEN JAWは往路と復路の発着地が片方、または両方別の空港となります。例えば往路PVG-LAX、復路SFO-PVGは目的地オープンジョー、復路LAX-HKGは出発地オープンジョー、復路SFO-HKGは両方オープンジョーです。
CIRCLE TRIPは複数の運賃規則で周遊旅行することです。例えばPVG-LAXはGKE0ZCC5、LAX-ORD、ORD-NRT、NRT-PVGはそれぞれ別の運賃規則、PVG-LAX-ORD-NRT-PVGがCIRCLE TRIPです。PVG-LAXとLAX-PVGのような往復航空券が、路線が同じでも運賃規則が異なればCIRCLE TRIPです。
BLACKOUT DATESは対象外搭乗日のことです。GKE0ZCC5はICN乗継なら2.24~3.1往路出発不可、2.3~2.8復路出発不可です。
SURCHARGESは追加料金がかかる状況と金額です。特定の国または地域を経由する際の費用や特定日に航空券購入にかかる費用などが含まれます。もし実際に表示された基本運賃が運賃規則より高くなった場合は、こちらでIF,AND,OTHERWISEなどのキーワードを探してみてください。
最後に運賃規則に記載されていなく、マイル制運賃にのみ有効なルールです。総飛行距離がMPM プラス5%/10%/15%/20%/25%までの部分は基本運賃プラス5%/10%/15%/20%/25%、25%を超える場合は発券不可もしくは中間地帯のある乗継地点で分けられ、複数の路線規則と運賃規則に沿って合計金額を計算されます。
ご注意:増えるのが基本運賃で、航空券総額ではありません。
路線規則と運賃規則を最大限に利用した検索例
予約クラス検索
運賃規則は特定の予約クラスにのみ有効で、路線規則、日付、乗継制限など全部満たしても、すべての区間をその予約クラスにする必要があります。安い予約クラスは数の制限もあり売り切れやすいのでハイシーズンや出発日が迫ってくる便に対し、なかなか見つかりません。そこでFlight Availability機能を使って各予約クラスの残席を検索できます。
9.17 UA PVG-LAXを例として説明します。
Departing Airport と Arriving Airportのところに出発空港と到着空港のコードを入れます。世界一周航空券なら同じコードを入れます。
Depart Dateで出発日を選び、往復検索ならReturn Date も入力します。HND-ITM線のように一日何便もある場合は、時間順で六つまでしか表示されないので、希望出発時間も入れておきましょう。
Airlineで最大三つまで航空会社を選びます。空欄にすると検索結果にすべての航空会社が表示されます。
Only Show Class(es) で予約クラスを入れます。空欄ならすべての予約クラスの残席が表示されます。
9.17 UA PVG-LAXの直行便と出発時間順に表示された五つの乗継便です。
予約クラスも順番に並べているので、GクラスはBasic Economy (Nクラス)の次に安い予約クラスだとわかります。
予約クラスの後ろには残席枠が表示され、G4とはGクラス残り4枚で、H9はHクラス9枚以上残っていることを示します。
ご注意:往復や周遊で一括検索すると、一番便利な組み合わせしか出てこないため、安い予約クラスが入っていない可能性が高く、1区間ずつ検索することがおすすめです。
航空券代金確認
まずルート制の例を見てみます。
UA PVG-LAXの路線規則とGKE0ZCC5の運賃規則に沿って、ITA Matrixで9.17にPVG出発、11.15にLAX出発の航空券を見つけました。往路PVG-LAX直行便で、復路LAX-HNL-GUM-PVG乗継便です。すべてUA運航便のGクラスです。
ExpertFlyerの$322 Basic fareがITA Matrixのcarrier fare合計$289.98よりすこし高いです。(おそらくOTAがUAから10%オフのオファーをもらっています)
またこの路線はUAが高額のYQを徴収することも確認できます。Basic fareが低くても約$400の諸費用がかかってきます。
マイル制の例も見てみます。
DL BOS-PVGの路線規則と運賃規則です。
Fare Basis Code: VJE03PMZ(Vクラス)$139;
MPM: 8754マイル; Via HNL +800マイル; Via HNL +1800マイル; Via LAX +200マイルi;
2017/01/30~2017/04/2もしくは2017/08/27~2017/12/09もしくは2017/12/25~2018/01/14往路出発限定
ストップオーバーは往路復路それぞれ一つで最大二つ、AREA3のgateway airport限定、1回につき$100の追加料金がかかります。
DL運航便なら乗継回数無制限(ただし一つの航空券番号は最大16区間まで)、BJS/HNDでDLからFM/MUへ一回乗継可能です。
一番簡単な往復航空券は、DTW乗継合計距離7769マイル、MPM超えていなくbasic fareは$69.5+$69.5=$139(DLのBasic fareには税金が含まれません)
multi-cityを使ってもっと複雑な旅程も構築できます。
往路はTPAとDTW、復路はNRT、HNL、LAX、MCO、MIAとLGAの乗継です。
往路飛行距離はMPMの約6%を超えて9304マイル、Basic Fareが10%上がって $76.45になります。復路はHNL乗継のため、MPM許容範囲が8754+1800=10554マイル、飛行距離が6%を超えて11183マイル、Basic Fareも10%上がって$76.45になり、最終的にBasic Fareが$152.9に変わりました。
航空券発券ツール
ExpertFlyerは細かく検索ができるものの、航空券の販売をしておらず、航空会社のHPまたは旅行会社で購入するしかありません。問題は、航空会社のシステムで複雑化した路線がなかなか検索結果に出てこなく、旅行会社はカード優待やボーナスマイルなどを提供しない場合が多くフリークエントフライヤーには使いづらいです。
解決方法は、ITA Matrixで検索した航空券の詳細画面を全選択し、bookwithmatrix.comにコピペすることです。
そこから航空会社の公式購入ページに移動できます。
マイレージラン
Google Flightsと違って、ExpertFlyerはリアルタイムで航空券価格の変動を通知することも、航空券代金の比較もできません。航空会社によってYQなどの諸費用も大きな違いがあり、基本運賃で比べる意味がありません。
唯一できるのが、詳しい路線規則、運賃規則及び各予約クラスの残席枠などの情報を提供し、航空券のカスタマイズを手伝うことです。これこそがExpertFlyerの本当の価値かもしれません。
マイレージランMileage Runは、マイルの積算目的で極めて低コストで総飛行距離を最大限にすることです。ただし、積算マイルは実際の飛行距離ではなく航空券代金に基づく計算が普及しつつあり、この方法はマイル獲得よりも上級会員獲得のほうが役に立つでしょう。(MQD/PQDなどの必要利用額が免除された場合のみ)
ルート制カスタマイズ
ルート制でマイレージランをしようとすれば、許容ルートで最大飛行距離を組み立てます。
UAのPVG-ORD往復のルートです。
前文の fare basis code ‘GLE0ZGC9’ は片道乗継5回以内、そのうちZONE1(アメリカとハワイ地区)3回まで、ZONE3(アジア太平洋地区)2回までの制限があります。
その運賃規則で調べた往復直行便は総額$560.56です。
マイレージランのため、GUMとHNLの乗継を加え、総額が$566.16に変わりました。直行便のPQM7058マイルに対し、乗継便のPQMが9946マイルまで増えました。
PVG–NRT–GUM–HNL–EWR–DEN–ORDのような極端な路線で13933マイルのPQMまで獲得できますが、Surchageのところを確認したらNRT乗継で1000円の追加料金に対し、PQMはたったの1000マイル増加で逆に損をします。
また、UAには有名なアイランドホッピングがあり、トランジットが何回でも1区間としか計算されなく、GUM-TKK-PNI-KSA-KWA-MAJ-HNLのような路線もカスタマイズできます。
ご注意:アメリカ出発の場合のみSURCHARGEに記載の追加費用$500がかかってきます。
マイル制カスタマイズ
マイル制マイレージランのコツは、TPDの一番いいところで乗継することです。
基本運賃が低ければ、多少MPMを超過してもお安くPQMの獲得ができます。
極端な例を例えます。
DL PVG-MIA運航便のMPMは9896マイル、HNL乗継で+1800マイル、DLのfare basis code‘TLXT0IML’がDL運航便乗継無制限です。一つの航空券番号には最大16区間なので、
PVG-NRT-HNL-LAX-LAS-RAP-MSP-MKE-DTW-BUF-BOS-CVG-CLT-ATL-ATL-MIAの路線を設定して合計12175マイルになります。MPM(9896+1800)の4%超過でbasic fareが5%増えました。500マイル以下の区間は最低でも500MQMを獲得できるので、合計14255マイルのMQMが獲得できます。
積算マイルが航空券代金に基づく航空会社に対し、自社ではなく他社への積算がお薦めです。
で各社への積算率も簡単に検索できます。
ストップオーバーを加える
無料ストップオーバー可能な運賃規則を利用すれば、旅行先でより多くの都市を訪れることもできます。
AAのfare basis code‘OLE7O9D1’の基本運賃は$545で、Zone 1とZone 3それぞれ1回まで無料ストップオーバーがつきます。HKG-ORD往復Oクラスの航空券代金は4250+859 HKDで、復路にはLASとNRTのストップオーバーを加えることで4240+1044 HKDになり、増えたのが日本でストップオーバーする際にかかる100HKDちょいの税金だけです。
*‘OLE7O9D1’は国際線がAA運航便限定のため、JL運航便のみあるHNL-NRTが利用できず、ハワイでストップオーバーするならアメリカ本土に戻ってからアジアに行く必要があり、MPMの上限125%を超えるため発券できません。
ストップオーバーの許容度が航空会社によって異なり、同じ航空会社でも運賃規則によって異なります。
例えばAAの中国―南米路線はストップオーバー最大15回まで可能です。つまり中国―日本1回―韓国1回ーアメリカ無制限ーメキシコ2回―南米2回のような周遊旅行ができるのです。
ローシーズンとハイシーズンの組み合わせ利用
ハイシーズンとローシーズンは、それぞれの運賃規則に大きな差が付きます。
例えば、AA BOS-PVG の運賃規則‘OJX0C8N1’の基本運賃$139は、BOS出発日を8.28-12.7に制限し、復路出発日は無制限です。
運賃規則‘OLE0C4O1’はクリスマス期間の最低基本運賃が$482です。
PVG-BOSのローシーズン運賃規則‘OLE0C5Z1’の基本運賃が$206で、PVG出発日を10.2-12.31に制限しますが、同様に復路出発日は無制限です。
ボストン在住で10.4-10.11&12.12-12.27上海行きの需要があるとします。
それぞれ10.4-10.11と12.12-12.27のPVG-BOS往復航空券Oクラスを購入すると、合計$1399.72の支払いが必要です。
なのにローシーズンとハイシーズンの組み合わせで購入すると、同じOクラスの10.4-12.27 BOS-PVG往復と10.11-12.12 PVG-BOS往復は合計$1151.36、約$150の節約ができます。
アメリカのド田舎からの出発なら$600ほど節約することも!
もちろん、定期往復需要のある人にだけ意味があります。
総括
航空券の販売条件には複雑なルールが設定されます。
そのルールはどこにも載っていなく、ExpertFlyerも路線規則と運賃規則を提供するだけです。ただそれを利用すれば、航空券の購入がもっと面白くて楽しいことになります。
ここでまだ紹介できていないものはまだたくさんあります。例えばend-on-end、side trip及びopen jawの応用、異なる航空会社の異なる運賃規則の組み合わせ、世界一周航空券など、追究できることは山ほどあります。
ExpertFlyerの宣伝用語“Enpowering the frequent flyer”のように、航空マニアたちにはよいサポートになるツールに違いありません。
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