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執筆者の写真TOTO

旅行保険と二重取り!ヨーロッパ旅行限定の遅延・欠航補償とは?知っておくべきEU261法

更新日:2月27日



飛行機に遅延・欠航などのアクシデントが発生すると、補償されるかもしれないって、ご存じですよね?

ただし、その条件は多様かつ複雑で、すべて把握することすら難しく、もらえるはずの補償も知らずに放棄してしまうケースがたくさんあります。

こちらの記事で大体述べましたが、EUだけ通常の補償と関係なく、独自の法令まで制定したことは知っていますか?


2005年2月17日から適用のRegulation (EC) No 261/2004(略称EU261法)は、飛行機の遅延、欠航、オーバーブッキング、搭乗拒否などの状況で、旅客の権利を守るため航空会社の賠償責任を定めた法律となります。



 

目次

 




基本の補償内容と条件



フライトが遅延した場合、下記の表に基づいた補償金がもらえます。

飛行距離
遅延時間
補償金額

1500KM以下

2時間以上

250ユーロ

1500-3500KM EU圏内で1500KM超

3時間以上

400ユーロ

3500KM超

4時間以上

600ユーロ


それぞれ2/3/4時間以上遅延した場合、飲食や無料電話2通、メール、ファックス、必要時に宿泊用のホテルやホテルまでの交通費も提供してくれます。

5時間超える場合は航空券代金の全額返金、乗継便なら最初の出発地まで送り返す責任もあります。


ただし、実際の状況によって航空会社の賠償責任が変わることもあります。欠航、遅延、オーバーブッキング発生時、用意された代替便が元々の到着予定時刻より2/3/4時間以内に到着した場合は、補償金の半減が認められます。



ご注意:事前に遅延するとわかってても時間通りに空港でチェックインしないと補償はもらえません!





対象となるフライト



  • すべての航空会社対象で、EU圏内から出発するフライト

  • EU圏外から圏内行き、かつEU加盟国の航空会社が運航(出発地ですでに補償受領済みの場合は対象外)


*スイス、アイスランド、ノルウェーはEUに入っていませんが、協定により対象となります。





対象となる搭乗者



  • 欠航/航空会社により便の変更:確認済み予約(a confirmed reservation)、所謂有効な航空券

  • 搭乗拒否と遅延:有効な航空券所持かつ指定された時間にチェックインすること。指定がない場合は、遅くても出発予定時刻の45分間前までに手続きしないといけないこと


ご注意:非公開の特別運賃や無料搭乗は対象外ですが、特典航空券は公開なので対象です。





欠航、搭乗拒否、ダウングレードへの補償内容


欠航時


  1. 航空券代金の全額返金かつ代替便の無料提供、乗継便は未使用の部分を返金、場合によっては全額返金

  2. 目的地に一番早く到着する便の用意

  3. 搭乗者の希望時間に合わせる便の用意


それに加え、規則に定めた補償金とサービスも提供しますが、下記状況には補償金が免除されます。


  • 2週間前までに通知義務を果たす

  • 1週間前までに通知し、出発予定時刻の2時間前以降に出発し、到着予定時刻の4時間後までに最終目的地に到着可能な代替便を手配

  • 1週間以内に通知し、出発予定時刻の1時間前以降に出発し、到着予定時刻の2時間後までに最終目的地に到着可能な代替便を手配



搭乗拒否時


航空会社側から独自の補償金及び代替便の提供でボランティアを募集しても希望者が足りない場合、強制搭乗拒否になります。

その際は欠航時と同じ取り扱いです。


ご注意:ここの搭乗拒否はあくまでも航空会社の都合で、搭乗者個人の問題(旅券、健康問題など)は対象外です。



ダウングレード時


  1. マイル区間に基づき、それぞれ航空券代金の30%,50%,75%を補償

  2. EU加盟国の航空会社運航便は受託手荷物の遅延に1日ごとに50ユーロを補償

  3. 空港で補償をもらう場合は、キャッシュ、振込、バウチャーから選べます。400ユーロなら基本500ユーロのバウチャーがもらえます。





補償対象外のケース



戦争、自然災害、飛行安全に影響を及ぼす問題、ストライキなど、いわゆる不可抗力などの特異な事態が発生した場合、補償対象外となります。


特異な事態というのは、かなり厳しく定められ、自然災害といえば火山や地震クラス、ストライキも管制官(Air Traffic Control, ATC)のみで、パイロットやキャビンアテンダントのストライキは対象外です。また、定期点検で発見された整備不良などのテクニカルフォルトも対象外です。


ということで、この特異な事態に遭うことはほとんどないと考えていいです。





実例から見る緊急時の対処法



まず気を付けなければいけないのは、賠償責任が発生しても、航空会社から知らせることはほとんどありません。一部悪徳会社は、補償を要求されてもごまかして支払いを怠ろうとします。特に通知には便が変更可能ということだけ記載されます。



例えばエールフランスからの通知です。

ストライキはフランス人の大好物で、フランスに行く際、特に気を付ける必要があります。

エールフランスのパイロットも同じですが、どの便がそのせいで欠航になるのが前日にならないと正式発表されません。

なのでその前にストライキになると聞いたら、下記のような対処法があります。


すぐに他社便を予約:スケジュールにはほぼ影響されませんが、万が一元の便が欠航にならない場合、どっちかがキャンセル可能でなければ無駄な出費になります。


代替便を事前に把握して欠航の通知が来たらすぐに買う:出発時刻に近づいてきて売り切れになるか、相当高くなる恐れがあります。


欠航通知が届き次第変更してもらうように航空会社に電話連絡:当日便への変更成功率が高くありません。カスタマセンターは空港のチェックインカウンターより権限が低いため、空席があっても確認できないことが多いです。


欠航通知が来ても何もせずに空港に向かう:基本空港での変更サービスがあり、代替便もしくは別の交通手段で目的地まで手配してもらえます。ただし遅延時間はかなり長引く恐れもあります。



エールフランスの通知が来た後、カスタマセンターに連絡したらほかの当日便への変更は不可とのことでした。
それでVYの便を購入し、エールフランスの航空券は後で払い戻すことにしました。(電話が繋がりにくく海外通信料も高いため、帰国後連絡すればいいです)
VYの航空券もすごく高くなりましたが、補償金でカバーできる範囲でした。


空港に到着してエールフランスにも聞いてみましたが、旅客を近隣空港に送りつけてそこから搭乗させるとのことでした。つまり空港に行けばなんとかなるはずです。


また、エールフランスの欠航でVYのオーバーブッキングにもつながり、一人150ユーロの補償金つきで別の便に変更するように提示されました。数時間無駄にしたくないのでボランティアを拒否しました。





帰国後の手続き



航空券の購入先に払い戻しの申請をする:航空会社からの直接購入ではない場合は旅行会社などのエージェントに連絡します。


航空会社に連絡して補償金の申請をする:エールフランスの場合は直接電話連絡して内容を伝えれば後日補償内容が提示されます。EU261規則より低く提示される場合はそれに合わせるよう、クレームを言えばいいです。


ご注意:クレームの時効は国によって異なり、2年から6年まで様々で調べるのも大変だから、早めに手続きすると無難です。


もし過去にEU261を知らずに遅延した経験があったたら、一回申請してみてもいいと思います。





各社の対応例


FR  BCN―STN


5時間以上遅延し、新しい搭乗券に5ユーロの飲食用バウチャーが入れられ、これしかもらえないと誤解したら、食事代は別途航空会社に請求できるとのことでした。


公式サイトの補償金申請フォームは自分から金額の入力が必要で、一概に250ユーロを入力したら、本来1500キロ超えた路線は損をしてしまいます。逆に400ユーロを入力したら1500キロ未満の路線の申請が拒否されます。そのため便の飛行距離を正確に把握しなければなりません。


次はIBAN CODEの入力画面になり、EU専用の銀行コードなのでEU圏外在住の場合は、問い合わせフォームから補償金請求の書類を送るしかありません。


最後はユーロをドルに換算して振り込まれ、なぜか100ドルを多めにもらいました。やっぱりLCCってルーズ??



TP  MAD-OPO


欠航により80ユーロの食事券と6ユーロの売店ギフト券が配られ、元々朝の直行便がLIS乗継便に変わり、到着も夜になりました。

申請して数カ月経ったら125ユーロ補償可能のメールが来て、説明や交渉でメールのやり取りを数十回もしてようやく250ユーロの補償金をもらえました。



OS VIE-PVG


申請して無視されたまま6週間経過した時点で、これ以上連絡がないとAPFにクレームを言うと伝えたら、すんなり返事が来ました。

一か月後に600ユーロが振り込まれました。



LH OPO-MUC-HKG


1区間目が1時間遅延のせいで2区間目に間に合えないことがわかり、翌日のOPO-FRA-HKGに変更してもらい、元の到着時間より24時間以上遅れ、見事600ユーロの補償金をもらいました。



ANA SFC取得記事でもCXのSHA-HKG-HANの同じ事例を紹介しました。同一運航会社の乗継便はいざという時、非常に役立ちます。

また乗継時間が短くて2区間目の便が遅い時間帯かつ代替便の少ない路線であれば、乗継を途中降機への変更やEU261の活用にもつながります。





航空券購入前にやるべきこと


EU加盟国の航空会社運航便を選ぶ


帰りは大丈夫ですが、行きはEU加盟国以外の航空会社運航便だとEU261の対象にならず、万が一遅延したら航空会社の手配に従うしかありません。一度航空会社の提案を受け入れた場合、帰りの便がEU261申請対象になってもややこしくなります。


例:MUのPVG-PRG線欠航のため、PVG-FCOへの変更もしくは払い戻しを提示されたケースです。本来EU261対象の場合は、必ず同じ路線の近い時間帯を手配する義務があり、自社便がなければ他社便に変更しなければなりません。このような路線変更はありえないです。



コードシェア便を避ける


EU加盟国の航空会社のコードシェア便で、EU圏外の航空会社が運航すると、対象外になります。

また同じくEU加盟国の航空会社でも、コードシェア便になると、賠償責任をお互いに擦り付ける恐れがあります。

航空券購入の際には一度確認を入れましょう。



保険をうまく利用する


ゴールドランク以上のクレジットカードなら、大体海外旅行保険が充実しています。

支払方法不問のカードもありますが、念のためカードで支払いましょう。特典航空券なら諸費用の支払いでいいです。


航空会社から遅延証明書さえもらえれば保険対象になり、搭乗券やEチケット、宿泊代や食事代などのレシートをちゃんと保管して後日請求しましょう。

EU261の補償金と二重取りできます。

旅行保険に関しては、下記記事も併せてお読みください。


EU261は法律の効力があり、航空会社とうまく進まない場合は、国の力を借りられます。こちらに連絡すればいいです。

もちろん、その前に、航空会社にその旨を伝えることも押しの一手ですよ。






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