1928年に設立したデルタ航空(Delta Air Lines、略称DL)は、アメリカのアトランタ市に本社を置き、航空連合のスカイチームの創立メンバーとして、アメリカン航空に次ぐ世界第2位の大手航空会社です。
サービスはいまいちですが、操縦士の腕も確かで安全面には信頼できるほうです。
DLのマイレージプログラムはSkyMiles(スカイマイル)と呼ばれ、運賃に基づくマイルの積算や交換、マイルチャート非公表でこっそり改悪など、マイル価値を下げる多数の施策の打ち出しにより、
あんまりいいマイレージプログラムではないものの、まだ使えそうなところを紹介したいと思います。
目次
会員システムの構成とプレミアステータスの取得
SkyMilesには、シルバー、ゴールド、プラチナ、ダイヤモンドの順に、4段階のメダリオン会員資格があります。
ステータス達成条件
メダリオン会員資格取得必要ドル(MQD)を満たす必要があります。1暦年で取得したMQDによってステータスが決まり、翌々年の1月31日まで有効です。
*2024年1月からはMQDのみ上級会員資格の取得要件となり、それぞれの基準が6000/9000/18000/35000MQDだと発表され、反対の声が大きくデルタが急遽内容変更しました。
デルタ航空便名のフライト(006から始まる航空券番号)は、お支払い1ドルごとに1MQDドルを獲得できます。ただし、税金(YQを除く)、手数料、ベーシックエコノミーおよび類似の運賃などは対象外となります。
スカイマイルで特典航空券に交換すると、100マイルごとに1MQDドルを獲得できます。
提携航空会社運航便で獲得できるMQDはこちらです。
*搭乗以外は、対象カード及びデルタバケーションツアーの利用もMQDの積算ができます。日本国内発行のスカイマイル提携カードは、利用額1000円ごとに1MQDドル&カードのブランドごとに毎年2500MQDドル(最大5000MQDドル)の獲得ができます。
シルバー会員はスカイチームエリート、ゴールド以上の会員はスカイチームエリートプラスも同時保有し、スカイチーム特典が享受できます。
上記の搭乗以外も、デルタスカイマイルアメックスゴールドカードの入会で1年間ゴールド会員資格が付与され、2年目以降は前プログラム期間中150万円以上の利用があれば翌プログラム期間もゴールド会員のままでいられるシステムです。
デルタ航空の会員システム改悪で会員資格に関係なく、エコノミー利用時はデルタスカイクラブラウンジ利用対象外となり、米国発行カードにも利用制限がかかった以上、現在唯一無制限に入室できるのがこちらのカードです。
今後デルタ航空愛用者にとってはこれ一択になったかもしれません。
また、他社の上級会員資格を持っている場合は、ステータスマッチでそのまま3カ月間のステータスが付与され、期間中条件をクリアすれば半年~1年半資格が延長されます。
*毎年7月以降のステータスマッチでチャレンジ成功した場合は翌々年1月末に延長されます。
ゴールド会員とプラチナ会員は、それぞれ2500MQDドルと3750MQDドルをクリアする必要があります。
デルタ便名のフライト搭乗、アメリカ発行のデルタ対象カードの利用、デルタバケーションの購入に限って対象MQDの獲得が可能です。
ANAのプラチナやJALのサファイアならゴールド、それ以上のステータスならプラチナへのステータスマッチが可能です。
SFC/JGC修行完了後、ついでにDLのゴールド会員を取得すればいいって感じです。
プレミアステータス特典の比較とコスパ分析
会員特典比較表
1.スカイマイル一般会員は、1ドルにつき5マイルの獲得です。各種税金と手数料を除いた基本運賃及びサーチャージがマイル加算対象となります。
2.ベーシックエコノミー(E)運賃はMQDやマイル積算、各種アップグレード、変更、空席待ちの対象外です。
3.超過手荷物手数料、サイズの超過手数料、または重量の超過手数料がかかる場合があります。予約1件につき同伴者8名まで利用できます。
4.デルタ・ワンの航空券はプレミアム・キャビン、ファーストクラスの航空券はファーストクラスにのみ変更できます。本来の出発時刻の24時間前から申請可能で、当初の出発予定時刻と同日である必要があります。
5.ゴールド以上の会員は、スカイプライオリティ・チェックインレーンが利用できます。シルバー会員専用チェックインレーンが設置されない空港では、シルバー会員もスカイプライオリティ・チェックインレーンが利用できます。
6.AMSおよびCDGのデルタ航空出発ロビーにはシルバー会員専用優先搭乗ゾーンはありません。
7.18歳以上の米国市民、米国永住権保持者、米国領市民が取得可能です。
8.米国、カナダ、プエルトリコ、米領バージン諸島からの電話のみ利用可能です。
9.delta.comまたはハーツで直接予約する場合のみ対象です。
10.スカイマイルプロフィールにGoldプラス・リワーズ番号を入力して、この特典に登録する必要があります。
11.時期によって内容が変更される可能性があります。
12.デルタ航空またはデルタ・コネクション航空会社のみ利用できます。
スカイチームをメインに利用する人は、SkyMilesの上級会員が一番獲得&維持しやすいかもしれません。
年会費も利用額も納得の範囲内に、クレジットカードだけでずっとゴールド会員資格&スカイチームエリートプラスを保つことができるからです。
米国国内線をよく利用するなら、回数無制限の無料アップグレートも大きなメリットです。プラチナ以上になると、チョイスベネフィットもとても魅力的ですが、MQDの条件がなかなか厳しくコスパ的には悪いと思います。
逆にミニオンマイラーの特典が改善され価値が上がりました。
1ミニオンマイラーの年間無料ステータス | ゴールドメダリオン |
2ミニオンマイラーの年間無料ステータス | プラチナメダリオン |
3ミニオンマイラーの年間無料ステータス | ダイヤモンドメダリオン |
4ミニオンマイラーの年間無料ステータス | ダイヤモンドメダリオン |
5+ミニオンマイラーの年間無料ステータス | 年に一度デルタ360°へ招待 |
ミニオンマイラーステータス | 飛行マイルでトラッキング |
ミニオンマイラー無償アップグレード確定条件 | 優先順位3番 |
マイルの積算方法
フライト搭乗
航空運賃と予約クラス、二つの積算基準があります。
DLから直接予約するもしくは旅行会社を通して予約した航空券番号が006から始まる場合は、1ドルにつき5マイルが貯まります。メダリオン会員は、ステータスによって1ドルにつき7~11マイルまで獲得できます。
提携航空会社の獲得マイル数は、こちらのページで詳しく記載されてあります。
結論から言うと、MQD獲得が目的でなければ、マイルをDLに積算することがもったいないです。
特典航空券のマイルチャート表を隠し、何度もこっそり改悪までしたスカイマイルは、主流マイルの三分の二の価値に過ぎないとみられます。
ということでスカイマイルの大量保有はおすすめしません。ほかのマイルもいずれ改悪される方向ですが、スカイマイルのほうがもっと危ないでしょう。
提携カード
現在スカイマイルが貯まるクレジットカードは、この8種類です。
どれも還元率が1.5%を超えることなく、マイル価値から考えるとANAマイル還元率1%のカード相当で、デルタ航空での大量利用(還元率~3%)やゴールド会員保有以外は、作る意味のないカードです。
ゴールド会員を目指すならデルタスカイマイルアメックスゴールドカード一択です。
入会から1年間ゴールド会員資格が付与され、期間中カード利用金額が150万円に達せばゴールド会員資格が更に1年間延長され、その後も同じ仕組みでゴールド会員資格の維持ができます。
年会費は28600円もかかりますが、旅行時に使える各種優待、保険やプロテクションサービスが充実で、海外利用時の還元率アップやカード継続ボーナスマイルなど、様々な特典が付いてきます。
入会ボーナス8000マイルに加え、ビジネスクラス25000マイル/エコノミークラス10000マイルのファーストフライトボーナスマイルが付くため(購入時の還元率3%が別途)、DL航空券の購入前に申し込むことがお得です。
更に家族カード1枚無料で発行することができ、利用分のマイルや利用金額も基本カード会員と合算され、使い勝手もいいです。
ポイント移行
それなりに貯めやすく交換率も高いのが、マリオットボンヴォイのリワードプログラムです。
ポイント:マイル=3:1の比率で交換できます。
マリオットアメックスプレミアムカードのポイント還元率は3%で、マリオットグループでの利用はプラス3%で、マイル還元率がそれぞれ実質1%/2%に上ります。
*ただし、マリオットのポイントはもっと価値の高いマイルへの移行がおすすめです。
アメックスのプロパーカード(自社発行)は、「メンバーシップ・リワード・プラス」の登録で(年間3,300円、プラチナカード無料)、1,250ポイント = 1,000マイルで交換できます。
*未登録の場合は、2,000ポイント = 1,000マイルです。
カード利用時のポイント加算レートが100円=1ポイントのため(=マイル交換率0.8%)、マリオットプレミアムカードより全然低いですが、ビジネスカードで会社の経費に使う場合やプラチナカードでの高額利用が必要な場合など、ポイントがたくさん貯まったらマイルの移行が一番お得かと思います。
*もちろん、こちらのポイントも、もっと価値の高いマイルへの移行がおすすめです。
その他提携サービス
日常のショッピング、食事、ホテル、レンタカーなど、提携パートナーは少なくありませんが、アメリカ在住でなければ、効率的にマイルを貯めることがほぼできません。
特典航空券の発券ルール
自社便及び提携会社北米発着便のマイルチャートは変動制
幼児・小児は大人と同じマイルチャートが適用
片道発券可能、所要マイル数は往復の半分
ストップオーバー不可、片道につき最大4回乗継可能
航空会社やクラスの混在可能
出発地、目的地、路線、日時の変更は、ベーシックエコノミー航空券以外可能
変更&払戻手数料無料
特典航空券の発券方法
お得な発券実例まとめ
お得とは言えないものの、スカイマイルが余ったら使うしかないです。
自社便は、通常航空券の値段に合わせ特典航空券の必要マイル数が変わるため、とんでもないレートが現れるかもしれません。これは提携航空会社の北米発着路線も同様です。
*ただ、特典航空券でもMQDが積算できるため、スカイマイルを大量所持で上級会員資格を目指す人にはとてもいいことです。
KE運航便
「日本―韓国」:片道エコノミー7500マイル/ビジネス15000マイル
韓国国内線:片道エコノミー5000マイル
現時点では、スカイマイルの一番お得な使い方になるでしょう。
KEはYQを徴収しないから一番いい選択肢にはなりますが、ブラックアウトディが多く、特典航空券の枠も少ないところがネックです。
私は過去に日本国内線搭乗1区間につき500マイルがもらえる「ニッポン500マイルキャンペーン」で貯めた8000マイルを、ここで使いました。
スカイマーク運航便
日本国内線:往復エコノミー15000/20000マイル
*片道利用でも往復分のマイル数が必要
余談ですが、このスカイマイルも以前、とんでもない「バグ特典航空券」がありました。
遠いところの乗継利用&ノーショー後オープンチケットに変更する手段でした。
例えば「NRT-HAN-PVG-MWX」は、「東京―ハノイ」片道エコノミー7500マイル/ビジネス15000マイルのみで飛べるのです。
オープンチケットに変更後も、直接空港行って残りの部分を空席待ちにすれば、7500マイルで東南アジア往復同然でした。
中国国内線は片道エコノミー6000マイル/ファースト7500マイルだったため、ファーストクラスで飛び放題でした。
バグとはいえ長い間存在し、余りにも使う人が多くてDLによる規則修正されなくなりました。
アップグレート特典
アップグレート特典もマイルチャート表がなく、かつほぼ意味ないため、説明を省略します。
公式には詳しい記載があります。
総括
DLの特徴をまとめました。
良い点
世界最大級の運航路線網&日本発着路線が充実
クレジットカードだけでゴールド会員資格を簡単に獲得&維持できる
特典航空券でもMQDの積算ができる
マイルの有効期限なし
悪い点
上級会員の到達条件が厳しい
マイルの積算レートが悪い
特典航空券のマイルチャートを非公開&こっそり改悪
お得な発券路線がほぼなくマイル価値が低い
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