1946年に設立されたキャセイパシフィック航空(Cathay Pacific Airways、略称CX)は、香港に本社を置き、航空連合のワンワールドの創立メンバー及び香港のフラッグ・キャリアです。
スカイトラックス社による最高評価の「The World's 5-Star Airlines」や「World Airline Awards」1位を何度も獲得しています。
CXのマイレージプログラムはAsiaMiles「アジアマイル」と呼ばれ、マイルチャートはとても優れていましたが、改悪に伴い使えそうな路線がだいぶ減りました。
幸いビジネスクラスを含め他社よりもお手頃な航空券が多く、マイルよりキャッシュでの利用が注目されるべきでしょう。
目次
会員システムの構成とプレミアステータスの取得
アジアマイルには、グリーン、シルバー、ゴールド、ダイヤモンドの順に、4段階の会員ランクがあります。
ステータス達成条件(CXの対象区間を1区間以上利用必須)
ステータスポイントは、会員ステータスの変化とともに12か月ごとの計算でリセットされます。
ステータスポイント計算機です。
一言で言うと、他社便からのステータスポイント積算率が非常に低く、自社便をメインに使わないと会員資格の達成や維持には難しいです。
幸い、香港経由の長距離国際便や日本発着の以遠権路線が揃っており、ビジネスクラスでもお手頃価格が多くとても利用しやすいです。
ゴールドはワンワールドサファイア、ダイヤモンドはワンワールドエメラルドも同時保有し、ワンワールド特典が享受できます。
ゴールドは割引運賃のビジネスクラスに乗って香港経由の長距離便2回+短距離便1回でクリアできます。
BAのシルバーよりはやや難易度が上がっても、航空券運賃や搭乗の快適さ、そして路線の選択肢などからするとCXのほうがやりやすいかもしれません。
また、エラー運賃の記事で紹介しましたが、以前「ベトナム―香港―北米」ファーストクラス往復航空券がUSD1000で販売され、それを4往復すると実質0円(もしくは儲かる?)でダイヤモンドを獲得できます。
エラー運賃とはいえCXはそれをすべて認めたのも非常に好感度が上がります。
プレミアステータス特典の比較とコスパ分析
会員特典比較表
前述の通り、同等レベルの会員資格を獲得するのに、CXはBAよりややこしいところがあります。 ただ、ビジネス/ファーストクラスの割安販売やアジアの運航路線が多く、それに搭乗体験も非常にいいです。
昔「東京―香港―ミラノ」の往復ビジネスクラスを合計22万円で買い、マイルを3万近くゲットし(のちにアジア周遊特典航空券を発券)、空港スタッフの推薦で当時入会金のかかるグリーン会員にも無料でなりました。
また台湾、韓国、日本の間に運航する以遠権路線や東南アジア行きの路線は、度々格安ビジネスクラスが販売され、会員資格に加え搭乗体験も一層楽しむならCXを選択する価値はあると思います。
そして通常の会員特典のほか、提携会社限定特典もあります。 フォーシーズンズやペニンシュラなどの高級ホテル宿泊時、予約ルート不問で朝食無料、部屋アップグレード、アーリーチェックイン・レイトチェックアウトなどFHRより幅広い優待特典が受けられます!
マイルの積算方法
フライト搭乗
自社グループ及びワンワールド加盟航空会社以外、下記航空会社とも提携によりマイルの積算/使用ができます。 AC、CA、NZ、OS、PG、GF、LA、LH、LX、ZH アジア・マイル計算機です。
自社積算率は最低でも50%近くあり(ミニマル300マイル)、格安航空券をメインに利用する人にはうれしい改善です。 もちろん改悪もあります。前述の「東京―香港―ミラノ」往復ビジネスクラスは、高い予約クラスても25000マイルぐらいしか積算できなくなりました。 提携会社には、従来通り予約クラスによる積算方法です。
各社の積算率はそれぞれ異なり、JALの場合はエコノミー50%~100%、ビジネス70%~125%、ファースト150%(国内線0)となります。
提携カード
「キャセイパシフィックMUFGカード・プラチナ・アメリカンエキスプレスカード」と「キャセイパシフィックMUFGカードゴールドMastercard」の2種類があります。
還元率は国内/海外利用でそれぞれプラチナ1.5/2%、ゴールド1/1.5%になります。
年会費はそれぞれ27500円/5500円と多少差がついても、各種プラチナ優待特典や高額保険完備のプラチナカードが断然おすすめです。
そもそもプラチナカードにしては年会費が安い部類に入っています。
更に還元率も入会ボーナスも高く、CX利用時の追加特典まで考えるとかなり優秀なカードだと思います。
ポイント移行
それなりに貯めやすく交換率も高いのが、マリオットボンヴォイのリワードプログラムです。
通常60000ポイントごとに20000マイルプラス5000ボーナスマイルで合計25000マイルを交換できます。
マリオットアメックスプレミアムカードのポイント還元率は3%で、マリオットグループでの利用はプラス3%で、マイル還元率がそれぞれ実質1.375%/2.75%に上ります。
アメックスのプロパーカード(自社発行)は、「メンバーシップ・リワード・プラス」の登録で(年間3,300円、プラチナカード無料)、1,250ポイント = 1,000マイルで交換できます。
*未登録の場合は、2,000ポイント = 1,000マイルです。
カード利用時のポイント加算レートが100円=1ポイントのため(=マイル交換率0.8%)、マリオットプレミアムカードより全然低いですが、ビジネスカードで会社の経費に使う場合やプラチナカードでの高額利用が必要な場合など、ポイントがたくさん貯まったらマイルの移行が一番お得かと思います。
*ANAへの移行レートはもちろん一番お得ですが、年間40000マイルの上限及び別途5500円の参加費を考えるとほぼ差が付きません。
その他提携サービス
ほかに提携サービスも色々ありますが、日本語のホームページにはほとんど載っていなく、英語のページから確認する必要があります。
実際、香港在住でなければお得に貯めるものがほとんどありません。
アジアマイル経由のお買い物でも貯めれますが、かなり積算率が低いです。ほかのポイントサイトで非掲載の案件以外はおすすめしません。
特典航空券の発券ルール
共通ルール
片道発券(ワンワールド複数航空会社特典および香港エクスプレスを除く)は、乗継1回を含む最大2区間まで利用可能、ただし乗継地だけ出発地/目的地と異なる国 / 地域の場合は片道発券対象外
往復発券(ワンワールド複数航空会社特典および香港エクスプレスを除く)は、往路・復路それぞれ最大2区間、乗継合計最大2回(うち途中降機もしくはオープンジョー最大1回)まで可能
出発地点のオープンジョーは同一国内 / 地域の異なる都市間でのみ可能、折り返し地点でのオープンジョーは制限なし、同一都市内の異なる空港はオープンジョーとはみなされない
香港発着路線の場合、北京、クアラルンプール、ソウル、上海、シンガポールなどの都市は近距離―タイプ1、日本、インドネシア、インド、ネパール全都市などは近距離―タイプ2に適用
コードシェア便や空席待ち発券不可、発券日より12ヵ月間有効
乗継の場合は両区間距離の合算で距離ゾーンが決まる
確定フライトの日付/便名変更や完全未使用航空券の経路、客室クラス、フライト特典種類の変更は手数料USD50もしくは7500マイル、払戻は手数料USD120もしくは17000マイルがかかる
スタンダード特典
航空会社1社(香港エクスプレスを除く)もしくは+CX&KA便が利用可能
複数航空会社で往復発券の場合、CX&KA便のみ利用する片道はCX&KA便マイルチャートで計算される
往路・帰路の各方向の距離と各区間の「グレート・サークル距離」の比率に基づいて計算され、異なるクラスの組み合わせ利用可能
折り返し地点を含まず逆方向に戻る旅程は利用不可
IBは片道発券不可、CAとIBは途中降機やオープンジョー不可、CAやS7はCX&KAと混在発券不可、NZは「HKG-AKL」路線のみ発券可能
CX&KA便マイルチャート
*出発地、目的地、折り返し地点にバングラデシュ、インド、インドネシア、日本、ネパール、またはスリランカの都市を含まない場合にタイプ1、含む場合にタイプ2が適用します。
提携会社1社を含むマイルチャート
未公開のため、実際に検索しないとわかりません。
ただしデーター上、CXのマイルチャートよりも、20%ほど高くなる傾向です。
ワンワールド複数航空会社特典
CX&KAを含まない2社もしくはCX&KAを含む3社以上のワンワールド航空会社利用
全区間の区間距離を合計し、最大50,000マイルまでとなる
最大5回の途中降機に、乗継とオープンジョーが最大2回ずつ
クラス混在は、旅程内最も高い予約クラスでのマイル数に準ずる
プレエコは利用不可
ワンワールド加盟会社マイルチャート
同伴者特典航空券マイルチャート
*CX&KAの販売・運航便で、ファースト(F/A)またはビジネスクラス(J/C/D/I/P)の航空券を購入した会員は、購入航空券1枚につき1枚の同伴者航空券への特典交換が可能です。
香港エクスプレスの特典航空券はリアルタイムの航空運賃によって5000~100000マイルの区間で変動し、香港エクスプレスの公式にて検索・発券できます。
特典航空券の発券方法
こちらのリンクから必要マイル数の検索ができます。
適当にCXの「NRT-HKG-SIN」路線で入力し、片道にかかるマイルの一覧が出てきました。
そのままオンライン発券できる航空会社の一覧です。
発券ページは英語になっています。
エアカナダ、ニュージーランド航空、アメリカン航空、オーストリア航空、バンコク・エアウェイズ、ガルフ航空、ルフトハンザドイツ航空、深圳航空、スイスインターナショナル エアラインズを含むフライト特典の交換や複雑な旅程は、事前に必要マイル数や日程などを調べたうえ、フライト特典申請書からの申し込みが必要です。
お急ぎの場合は、直接電話することがお薦めです。
フリーダイヤル00531-85-3747 日本時間9AM-10PM
フリーダイヤルが使えない場合、国番号に続いて+ 852-2747-3838、ソフトバンクは0061、KDDIは001、NTTは0033を国番号の前につける必要があります。
お得な発券実例まとめ
CX&KA運航便の片道短距離エコノミー
HKGからの750/2750マイル圏内マップと主要路線です。
HKGから極東、インドまでの中央アジア、一部オセアニアまで、そして利用率の高い以遠権路線もすべて片道10K/12.5Kマイルです。
2750マイルに近ければ近いほどお得なので、「HND-HKG-SGN」や「KIX/NGO-HKG-BKK」のような路線を活用するといいでしょう。
途中降機つきの往復短距離エコノミー
CX往復発券の場合は最大4区間、うち途中降機とオープンジョー1回ずつ可能となります。
例えば、「HND-HKG-SGN」と「HAN-HKG-HND」で、香港途中降機とベトナム周遊の旅程を構築できてたったの25Kマイルです。
スタンダート特典クラス混在発券
スタンダート特典は、クラス混在の場合、往路・帰路の各方向の距離と各区間の「グレート・サークル距離」の比率に基づいて計算されます。
計算式:各区間の所要マイル数=総飛行距離所要マイル数(クラス別)*当該区間飛行距離/総飛行距離
例えば「KIX-HKG-MXP」のような旅程です。
CX利用の場合、特典マイル数の計算機にて以下の結果がでました。
「KIX-HKG」をエコノミー、「HKG-MXP」をビジネスで利用する場合、「KIX-HKG」所要マイル数12500*1539/7363+「HKG-MXP」所要マイル数84000*5825/7363=69065(百位以下切り捨て)
本来なら「HKG-MXP」のビジネスクラスだけでも84Kマイルがかかるのに、「KIX-HKG」のエコノミークラスを増やすことで逆に15Kマイルが節約できました。
では、所要マイル数を最大限に減らすのにどうすればいいですか?
答えは、エコノミークラスの距離が長く、かつ総飛行距離とビジネス/ファーストクラスの飛行距離が同じ距離ゾーンであることです。
例えば「MAD-HKG-ORD」のような旅程で「MAD-HKG」がエコノミー、「HKG-ORD」がビジネスの場合、本来の110Kマイルから72Kマイルになっています。
また、JL&NHのマイルはアメックスマリオットプレミアムカードの1.25%の還元率に対し、前述のCX提携プラチナカードは1.5%で20%も高くなります。
クレジットカードをメインでマイルを貯めるなら、マイルチャートが多少高くても、単純計算で20%以内の差でCXのほうがお得です。
そしてCXのマイル発券は、距離制のため、遠回り路線には向いていません。特に周遊特典は、ANAのようなゾーン制のマイレージプログラムとの組み合わせ利用がおすすめです。
アップグレート特典
航空券番号が160から始まるCX&KA運航便のみ対象
対象予約クラスはJ、C、D、P、I(ビジネス)、W、R(プレエコ)、 Y、B、H、K、M、L、V(エコノミー、「ライト」運賃が対象外))
座席クラスや航空会社混在の場合は利用不可
出発空港からの最初の便のみ対象で、乗継便は対象外
座席を使用しない2歳未満の乳幼児運賃はアップグレード対象外、子供運賃の購入でアップグレード可能
特典交換グループの被指名者もアップグレード可能、ただし空港アップグレード特典の利用は会員本人と同じ便の搭乗及び名前の事前登録(出発24時間前まで)が必要
*プレエコのサービスがないフライトのみ対象
総括
CXの特徴をまとめました。
良い点
SKYTRAX社の格付による最高水準の設備とサービス
提携カードや一部自社便のマイル積算率が高い
特典航空券の席数が多い
香港出発の自社便は燃油サーチャージががかからない
悪い点
改悪が止まらず特典航空券のお得な路線が少ない
ワンワールド特典以外、乗継、途中降機、オープンジョーを利用しづらい
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